『ハリー、見知らぬ友人』

ケーブルテレビでやってて、アタマ15分は観てないんだが。
単なるサイコ野郎の話かと思ってたが、ちょっと違った。
良き夫、良き父、良き息子、家族のために尽くす事と自分らしく生きる事の両立はなかなか難しい。
そんな壁にぶつかってる男の前に、高校のクラスメイトだと名乗る男が現れる。
何十年ぶりに会った友人は、高校の文集に載せた男の詩と小説をベタぼめし、「また書くべきだ」と男に強く勧める。
友人が出現してから、男の心と身辺が揺らぎ始める。
ハリウッドなら、サイコ男の正体に気づいた主人公が家族を守るため反撃に出るなんつー安易な展開にしたんだろうが、
さすがフランス映画。人間の深層心理を暗示している面白い展開だった。
大抵の人の心には天使と悪魔がいるわけだが、幸せの価値観が各々違うように、
ココロの中の天使と悪魔なんて、社会通念で線引きできるものではなく。
突然現れた友人は、男の心に潜んでいたもう一人の自分だったのかも。