『2046』

midori-ramao2004-10-23

花様年華』ではトニー・レオンマギー・チャンという上手い役者ふたりの大人の恋愛をじっくり味わうことができた。その続編なわけだが。木村拓哉という役者の演技が鼻につくようになって何年かが経つ。彼の眼力は強すぎて不自然だ。眼でモノを言い過ぎるのだ。日本の芸能界におけるキムタクという存在の特別扱いによって、彼の自意識は肥大化し「自然な演技」が何なのかわからなくなってしまっている。キムタクというトップアイドルの存在を知らない外国人が先入観もなく一人の役者として観た時、彼の演技をどう感じるのだろう。
トニー・レオンチャン・ツィイーコン・リーフェイ・ウォンというそうそうたる顔ぶれがどんなにガンバってたとしても、この映画を通して胸に迫るものは何もなかった。バラバラになりそうな感傷的な登場人物たちを独特のタッチとセンスでひとつのうねりにまとめるのがウォン・カーウァイの魅力だったのだが、今回はまとめきれず散在してしまってる。主人公が描くSF小説の近未来のシーンもとってつけた感じだし。「中国の近未来都市」が出てくるという共通点で『code46』と比較すれば、見終わった後の気分は天国と地獄ぐらいの格差あり。