『陽のあたる場所から』


仏人監督作品でねっとりしたアクの強い作品かと思ったら、撮ったのはアイスランド出身のドキュメンタリー監督。重いテーマを深いがさらりと描いていた。もっとわかりやすく突っ込んで描くべきと言う人も多いだろうが、ヒントは映画のあちこちにちりばめられており女二人の心の内はよく理解できた。
口を閉ざした精神病患者の女と精神科医の女。二人の心が呼び合った結果、起こる出来事。舞台はパリからアイスランドの小さな島へ。ロード・ムービーと呼んでもいいのではないか。精神病患者の女を演じた素人の女性の演技は自然で上手かった。今、まさに観たかった映画。
この映画のテーマである共依存症。身近にも街中にも共依存者はたくさんいる。
例えば今日、カフェで隣りの席に座っていた中年女たち。子供のこと夫のこと知り合いの噂話しかしない。「私はこういう人間である」「私はこう思っている」という話は出てこないだ。私の心にだって共依存症の芽はよく出てくる。連れの心にも。芽生えては摘み芽生えては摘みの繰り返し。