『リアリズムの宿』〜DVD

リアリズムの宿
『ばつの悪さ、寂寥感の日本的描写が秀逸な乾いたバックビートが流れる、鳥取ロードムービー』by村上隆
つげ義春原作で鳥取の温泉街が舞台のロードムービー鳥取住民の人間性鳥取弁にリアリズムはなかったが、流れる景色は確かに鳥取の冬の風景。
新人映画監督で童貞の男と新人脚本家で六年つきあった女と別れたばかりの男が主人公。確かに映画業界の男は女に奥手なタイプと、どっぷり女に浸かってるタイプ、2つに分かれてるような気がする。そんな二人の前に「謎の女」が現れるのだが、謎の女と男二人の三角関係なんてリアルじゃないことがなくて良かった。謎の女や温泉街の凸凹した人々との一期一会に映画の制作意欲をかきたてられたことが、男たちにとって何よりの旅の成果なのだ。それこそが旅のリアリズム。旅先で津波に遭うなんて確率がかなり低いように。
「ジョゼ……」の主題歌「ハイウェイ」より以前に作ったというくるりの「家出娘」は鳥取の曇天にぴったり。