善き人のためのソナタ★★★★1/2
ウィースラーは私利私欲のない純粋で真面目な性格であり、体制を疑うことなく素直に従ってきただけの人間。彼が初めて心を動かされたのは『善き人のためのソナタ』を聴いた時ではなく、ドライマンの創った劇とドライマン自身を観た時ではないか。だからこそ彼は自ら「あの男を調べたい」と申し出たのだ。

この作品に主演後、急死したウルリッヒ・ミューエの大きな澄んだ瞳を見ているうちに、彼は演じてる間もこれが遺作にして代表作になるとわかっていたのではないかと感じた。