このミステリーがすごいの海外版第一位の『チャイルド44』。面白くて一気読み。スターリン政権下、戦々恐々とする人々の緊迫感に引き込まれた。チャイルド44 上巻 (新潮文庫)作者: トム・ロブスミス,Tom Rob Smith,田口俊樹出版社/メーカー: 新潮社発売日:…

10年ぐらい本棚の肥やしになっていた『フリッカー、あるいは映画の魔』を手にとってみたら、ぐいぐい引き込まれて上下刊一気に読破。とある監督の映画に魅せられた人々が数奇な運命をたどってゆくストーリー。歴史、ミステリー、愛欲、色んなものがふんだ…

バナナバナナ

よしもとばなな作品は今ひとつ共感できなかった。本人が「今まで書いた中で一番好きです」と帯に書いていたのが気になって『デットエンドの思い出』を買って読んでみた。今伝えたいことを丁寧に素直に書き上げたと感じられる文章が気持ちよく体に入ってきた…

リリー・フランキー

近年で一番泣けた本がリリー・フランキー著作で、一番笑ったのもリリー・フランキーだった。リリー・フランキーを初めて知ったのはぴあで連載されていた『あっぱれB級シネマ』。スペシャのピエール瀧の番組で濃い実物を見てますますファンになった。泣けた…

『ピンク・バス』角田光代

『袋小路の男』絲山秋子

女の視点と男の視点で書き分けているのは面白い。今まで袋小路の男に何人か出会ったきたが、彼らは袋小路の男よりもっと闇の深い断崖絶壁の男だった。その中には崖から海へ落ちてしまった人もいた。それに比べればこの話の男女にはまだ救いがある。袋小路の…

まわりの人々のおかげで自分が存在していることは百も承知だし感謝はしてやまぬが、時として、しがらみをどうしようもなく面倒に感じてしまう。しがらみという毛糸を丸めて遠いお山の方へドーンと放り投げたくなる。学生の時は受け取るのが楽しみだった年賀…

『西の魔女が死んだ』梨木 香歩

ku:nelを毎号読み∧おばあちゃん子のあたしには共感できる物語。孫にとっておばあちゃんは誰でも魔女かもしれない。うちの祖母も魔女だった。色んな魔法を見せてくれたりかけてくれたりしたもんだ。うちの三人の姪にとっての西の魔女は死んでしまったので東の…

ゼームス坂

ゼームス坂を通る。ゼームス坂病院跡地の智恵子の碑を探してみたがみつけられなかった。帰宅後ネットで検索してわかったが、それは坂沿いではなく奥まった所にあったのだ。 かういふ命の瀬戸ぎはに 智恵子はもとの智恵子となり 生涯の愛を一瞬にかたむけた …

浮谷東次郎

『がむしゃら1500キロ』浮谷東次郎 23才で練習中の事故で亡くなったレーサーが中3の時、50ccのオートバイで東京から関西まで行った旅行記。15才にして素晴らしい感性、そして15才のまっすぐでひたむきな情熱。この人には長生きしてほしかった。ち…

『アフターダーク』村上春樹

『アフターダーク』 今までの本に対して字が大きかったので、あっという間に読み終える。 村上春樹の恋愛観には共感できないが、その世界観にはいつもひれ伏す。 彼の放った言葉が魂の奥底をなでる。その快感と感動。 光と闇は背中あわせだと痛感しながら暮…

今日の本

『変わる家族 変わる食卓』(id:kataru2000:20040902で知った) と村上春樹『アフターダーク』 を購入。まず『変わる家族 変わる食卓』を読む。 私の周りでも、料理好きとそうでないタイプと両極端に分かれる。 この前、結婚して五年目の後輩に日曜の昼電話…

本日の一冊

高村光太郎の『智恵子抄』を、本棚から探し出して十年ぶりに読む。 光太郎の智恵子を想いうたった詩を読んだ後、 ゼームス坂病院に入院していた智恵子を見舞った光太郎が帰ろうとすると、 智恵子が「私も一緒に連れてって」とすがったくだりで泣きそうになっ…