ごはん日記

midori-ramao2010-06-25

眠っている間ずっと、どこかでズンドコズンドコ音が鳴り続けている。そのズンドコと英語の話し声と共に5時頃目覚めた。
テントをひとつはさんだ場所でイギリス人のグループが、ひと晩中そして明るくなった今もなお焚き火をしながら音楽を流し、酒を飲み話し続けている。その音を間近に聞きながらテントの中で眠っていた。
寝袋に入ったまましばらくボーとしていたら、同じツアーの参加者@隣のテント入口から、「キンちゃん、キンちゃんじゃん!」という男性たちの声が聞こえてきた。話を聞いていると、どうやらキンちゃんは昨日、テントを設営した後からふらりといなくなり、そのまま夜になっても帰ってこないので皆で少し心配していたが、朝になってテントを出てみたら、焚き火をしている白人たちに混じって飲んでいる姿が目に入ったという流れらしかった。キンちゃんを見つけた友人が「みんなでキンちゃんどうしたかなあって話してたんだよ」と言ったら、キンちゃんが「それはそれで嬉しい」と答えたのが聞こえて笑った。
6時ごろ、トイレに行こうと寝袋を出たら、T子も起きてきた。テントから出たら今日も快晴也。トイレ帰りに昨夜、紅茶を買った屋台で、ホットサンドとコーヒーを買って食べていたら、ツアコンI氏とツアー客のカップルが朝食を買って同じテーブルにやってきた。
I氏の話によると、彼は個人的に6年、ツアコンとしては20年もグラストに参加してきたが、26回の中で一度も雨が降らなかったのはたった一回だけで、それも今回のように快晴が続いているのは初めてだという。I氏に騒音の白人グループのことを話し、「あれが毎晩続いたら、疲れが増してくるのにキツい」と訴えると「あのぐらい可愛いもんだよね。もっとすごいのもいるからね。まあ、気になるようならテントの場所移動してもいいですよ」と言われた。そりゃ、I氏のテントは我々より奥まった場所にあるから、可愛い音に聞こえるだろうてと思った。
テントに戻ったら、男二人も起きていたので、人が増えないうちにシャワーを浴びにいこうと中心部に向かった。朝のフェス会場はゴミも片付けられ人もまばらで、歩いていて気持ちよかった。30分かけてシャワーの設置場所に行ったら、使用開始20分ぐらい前の7時40分なのに目を疑うほどの長蛇の列ができていた。並んでも2、3時間かかるだろうと諦め、またピラミッドの方に戻り、男二人は屋台でパンにソーセージとか卵がはさんである朝食をとった。牧場地だから新鮮で安い牛乳を売っているスタンドがあるので、買って飲んでみたら濃厚で美味しかった。草の上に座ってのんびりしていたら、ネズミの格好をした男がギターを弾き流しながら通りすぎていった。

テントに戻って荷物を作り変えて、Dance VillageのBarでナチョスをつまみながらまずはビールで乾杯。フジにはハイネケンを売っている屋台があらゆる場所にあって、ビールには困ったことがないが、グラストはこんなに会場が広いのにビールを売っているのは大きなステージの傍にあるbarだけで、飲むのに苦労した。多くのイギリス人たちは缶ビールをたくさん持参し生ぬるいやつをグイグイ飲んでは空き缶を地面に捨てていた。

アザーズというステージに移動し、毎日、発行して無料で配っているグラストの新聞をもらって読んでいたら、The Magic NumbersのLIVEが始まった。数年前のフジで見逃したThe Magic Numbers。グラストの青空の下で聞く麻原似の兄ちゃんと妹たちの奏でる爽やかな音に感動。

ライブをがっちり見ると会場を廻りきれないので、行ってない場所を探索することにした。シャワー設置場所の奥の方に進んでゆくと、大道芸人がたくさんいる広場があり、童心に戻ったイギリス人たちがたくさんたわむれていた。

カイワレがびっしり生えたスーツに身を包んだカイワレおじさんやカンガルー兄弟やその他諸々いたが、我々の心を一番掴んだのは<フラミンゴおじさん>で、手でフラミンゴの形をつくり、同じようにフラミンゴの手をした観衆を連れて「ホーホー」と鳴きながら集団移動しては、一人のターゲットを囲んで歌を歌ったり、屋台に行って食べ物をもらったりしていた。脱落してゆくものがほとんどおらず、フラミンゴの数はおじさんが解散を告げるまで増え続けていた。
 
この広場はとても居心地がいいし、屋台で買ったジャンバラヤも石釜PIZZAもとても美味しかったし、フジでいうところのヘブンだなと思った。
広場の隅に小さなステージがあって、2,3人の客の前でギターの弾き語りをしていたり、インド音楽をずっと演奏しているテントがあったりと、テーブルに座っていても楽しめる光景がたくさんあった。
日差しが強い中を朝からたくさん歩いたので、防寒着をとりがてらテントに帰って昼寝をした。支度をしてテントを出たらI氏がいて「The Parkのスペシャルゲストとなっている枠がトム・ヨークだって。みんなには内緒だよ。たくさん押し寄せてくるから」と得意気に語ってくれた。(内緒にしなくてもどんどんみんなに伝わってるだろうと思った)そして、それを聞いたトム・ヨーク大好きなYちゃんの目の色が変わった。
The Parkに向かうと思ったとおりイギリス人がわんさか押し寄せてきた。Yちゃんだけ前に行き、三人は後方に居たが背の高いイギリス人にビッチリ囲まれてステージはまったく見えなかったので、トム・ヨークのサプライズLIVEに興奮し歌い踊りしゃべるイギリスの若者たちを間近で観察し続けた。トム・ヨークの弾き語りの後、ジョニー・グリーンウッドも登場し、さらに会場の雰囲気はヒートアップ。『Karma Police』の大合唱が始まり、トムの声は聞こえなくなった。ライブが終わり、前方から戻ってきたYちゃんは大満足の表情だった。

今度は大トリのGorillazを見るためにメインのピラミッドに向かった。U2がボノの体調不良でキャンセルとなりGorillazになったと聞いた時は、四人の中で私だけが喜んだ。サマソニかフジに出るのを待っていたのだ。
しかしピラミッドステージに着いて・・・さすが参加者十数万人のフェスのトリだっけあって想像を絶するほどの混み具合だった。ステージに近づくどころか遠くでビジョンを眺めていることも困難なほど人がいて身動きがとれない。Gorillazのステージはもう始まっているのに、見ることもできず必死で奥に進み、なんとか左端にほんのちょっとだけスペースを見つけた。赤いボーダーTを着たデーモンがピアノを弾き歌っているの見て感動。様々なゲストを呼んでいろんなアレンジを施しデーモンが楽しそうにやりたいようにやってるライブだったが、とにかくデーモンの表情やしぐさがチャーミングで「デーモン可愛いなあ、デーモン可愛いなあ」と呟いていたら、T子が淡々と「おっさんじゃん」と言った。アンコールは待望の『Clint Eastwood』をやったので、トムの時には一体になれなかった私もイギリス人と一緒に合唱して終わった。

テントに戻る途中の屋台群で、ローストチキン&ポテト、肉のスパイス煮込み、日本風焼きそば(昨日のより美味しかった)を食べた。

歩き疲れた体を押してテントに戻り、ズンドコ対策のために買った耳栓をして寝袋にもぐりこんだ。